2018年度診療報酬改定では、オンライン診療料等が新設されており、施設基準や算定要件において、このルール遵守が求められることにもなります。このルールにのっとってオンライン診療を行っていれば、医療法・医師法等に抵触しないこととなります。すなわち、医師法第20条に規定される無診察治療には該当しないことになります。
厚生労働省は2018年3月9日に開催された「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」で、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」案を提示し、これに基づいた議論が行われています。 指針案では、まずオンライン診療について、基本理念を確認しています。
(1)「医師と患者の直接的な関係」が構築された中で実施できるもので、初診は「対面診療」が原則となり、その後も「同一医師による対面診療とオンライン診療の組み合わせ」が求められる
(2)医師が責任を負うため、「オンライン診療で十分な情報を得られるか、適切な診断が行えるか」を慎重に判断し、これが困難な場合には、速やかに「対面診療」に切り替える
(3)通常診療と同じく、「自ら行ったオンライン診療の有効性」を定期的に評価する必要がある
(4)触診などができない等の限界があり、患者に不利益があることも事前に説明しなければならない
(5)「治験」「臨床試験」など安全性の確立されていない医療を提供すべきでない
(6)「患者が実施を求める場合」にのみ実施されるべきである
すなわち、
「原則として、初診でオンライン診療を行うことはできない」
「医師側の都合でオンライン診療を強制してはならない」
ことになります。
また、3月9日の検討会では通信機器について、
「オンライン診療は、医師側、患者側ともに個人所有のスマートフォンなどを用いて実施することも可能だが、その場合、両側の端末について本人認証やウイルス対策ソフトの導入などを行うとともに、通信の暗号化や適正な認証などを可能とするシステムを介することが必要ではないか。」
このような考え方を示しました。
しかしながら、電子カルテなどと接続したオンライン診療を行う場合には、情報漏えい等のリスクが飛躍的に高まるため、患者・医師ともに自己所有のスマートフォン等を用いることはできず、強固なセキュリティの確保が求められる、といった考えも示しています。
検討会では、2018年3月中に指針「オンライン診療の適切な実施に関する指針」をまとめる予定で、4月1日から適用される予定です。
オンライン診療が地域医療やへき地医療の問題の解決策の一つになるかもしれません。