2025年の真実

2025年には団塊の世代の方々が75歳以上の後期高齢者となります。後期高齢者の方は2012年では1560万人でしたが、2025年には2179万人となり、全人口の18%になると予測されています。また介護が必要な方は、現在より200万人増加するといわれています。このため、このままでは超高齢化がすすみ、病院や施設だけでは、高齢者を医療で支えきれなくなる時期が2025年と厚生労働省は位置づけています。2025年には高齢者を医療機関だけでなく広く地域社会全体で支える、医療介護の仕組みの整備が必要となります。

厚生労働省は2025年に向けて、この在宅介護の整備に力をいれています。医療介護総合確保推進法も整備され、足りない慢性期の病床つまり入院でリハビリをするベッドを確保しながら、大きな病気や外傷の治療をする急性期の病床数を減らして、今後増加する医療費を抑制することも厚生労働省の大きな目的になっています。各都道府県が医療提供体制の将来像を示す「地域医療構想」で、2025年に必要な病院の病床数、すなわちベッド数は、2013年時点の約134万床から約15万6000床、11・6%減少する見通しです。地域医療構想の策定に伴い47都道府県が推計した結果、今のところ、41道府県で病床が過剰とされ、鹿児島県をはじめとしてベッド数が30%以上減少する県は8県、20%台減少する県は19県にのぼります。さらにこれらの県の多くでは、皆さんが病気や大きなけがをした時に治療を受ける病床、これを高度急性期病床もしくは急性期病床と呼びますが、これらの病床が約半数に減少する予定です。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、沖縄では全体の病床数は増える予定です。

現在の全国の高度急性期、急性期の病床はおよそ77万床ありますが、厚生労働省は2025年までに53万床に減らす方針です。

皆さんがこれまで病気になった時に治療を受けてきた病床は圧倒的に減ることになります。そのかわり、リハビリを中心とした慢性期病床は増えることになります。急性期病床での治療期間を短縮し、回復期病床でリハビリし、早期に自宅に帰るという計画です。

自宅に帰れば、医療が必要な方は訪問診療を受けることになります。この議論をする時、我々医療者側は誰が訪問するのか、回数はどうするのかといった議論が中心になりますが、本質はそこではありません。介護が必要な方がお家ですごすためには、誰が介護するのか、が一番重要な問題です。同じくご高齢の配偶者か、お子さんの世代が介護することになりますが、お子さんの世代では、現代日本では多くのご家庭でご夫婦ともに仕事をもっており、どちらかが仕事をやめるか、出費が必要、ということになります。いずれも経済的負担をしいられることになります。

しかし、政府は手術や救急など高度医療に偏った病床の機能を再編すると同時に、慢性疾患を抱える高齢患者は家で療養する方が望ましいとして在宅医療を推進する考えです。

今後、特に2025年以後、日本では医療機関での医療は簡単には受けられなくなるかもしれません。

ご自分の健康はご自分で管理するセルフケア、予防医療がますます重要になるでしょう。皆さんも一度ご自身やご家族の健康や日本の医療について考えてみてください。

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