リステリア症

リステリア症はListeria monocytogenes (リステリア・モノサイトゲネス)による感染症で、ヒトのほか種々の動物にも認められる人畜共通感染症です。人に感染すると敗血症、髄膜炎などを引き起こすことがあり、重症化した場合の死亡率は20~30%とされています。

世界保健機関(WHO)当局者は2018年4月3日までに、食中毒を引き起こすリステリア菌の感染が南アフリカで拡大し、これまでに189人が死亡したと明らかにしました。リステリア菌の被害としては過去最悪としています。

リステリア菌はサルモネラ菌と並び重症の食中毒を起こすことで知られています。 南アフリカでは2017年からリステリア菌の感染が発生。地元メディアによると、これまでに982人の感染が確認され、うち189人が死亡しました。南アフリカ国内で製造された加工肉製品が原因と確認されており、ナミビア、ボツワナなどの近隣諸国にも輸出されていることからWHOが各国に警戒を呼び掛けました。

また、リステリアはオーストラリアでも流行しています。

2018年4月9日にWHOから公表された情報によりますと、2018年3月2日に、オーストラリアの国際保健規則国家担当者から、リステリア菌の集団感染についてWHOに通報がありました。2018年1月17日から4月6日にかけて、リステリア症患者20人(確定患者19人、可能性の高い患者1人)の集団発生が報告されました。すべての患者が入院となり、7人が死亡し、この感染の発生にともない1人が流産しました。この感染でのすべての患者は、1月17日以降に発症していました。

疫学調査から、感染の集団発生の原因はオーストラリアの単一の栽培者から出荷されたロックメロンであることが示唆されました。疫学調査と環境調査が行われ、2018年2月27日には、この栽培者によって生産されたロックメロンは回収されました。

2018年3月1日には、オーストラリア国際保健規則国家担当者から、細菌で汚染されたこれらの生産物が国際流通されていることが通報されました。調査・追跡の結果、オーストラリア担当当局は、3月2日に、この栽培者からロックメロンが8か国に輸出された情報を把握しました。その8か国は、 香港、日本、クウェート、マレーシア、オマーン、カタール、シンガポール、UAEです。3月3日には、オーストラリア国際保健規則国家担当者が、これらの国に対し、オーストラリアからロックメロンが輸出されていることを、直接、連絡を入れました。これと並行して、通報は、3月3日に国際食品安全機関ネットワークからも発信されました。

さらに、調査・追跡が進められ、2018年3月7日に、この栽培者からバーレーンにもロックメロンが輸出されていたこと、3月8日には、細菌で汚染されたロックメロンがセイシェル諸島への輸送品にも含まれていた可能性のあることが確認されました。オーストラリア国際保健規則国家担当者は、3月8日にバーレーン担当者に、3月9日にはセイシェルの担当者に、直接、連絡を入れました。

妊娠女性、高齢者、免疫の弱い人(例えばがん、HIV、糖尿病、腎臓、肝臓疾患などの人々、免疫抑制薬を服用している人々など)は、低温殺菌されていない牛乳、柔らかいチーズ、総菜の肉料理(カットされた肉、パテなど)などの感染リスクの高い食品の摂取を避け、リステリア菌の感染を予防する対策を取ることが必要です。アイスクリーム、生の魚介類、甲殻類、貝類などにも注意が必要です。野菜や果物は良く洗うことが推奨されます。

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