ノロウイルス感染症は、乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に急性胃腸炎を引き起こすウイルス性の感染症で、長期免疫が成立しないため何度もかかります。年間を通して発生しますが、主に冬場、12月から2月にかけて流行します。
ノロウイルスは感染力が非常に強く、また乾燥にも強く、少量のウイルス、10個から100個でも感染、発症すると言われています。
医療機関でできる検査としてはノロウイルス抗原検査があります。糞便中のノロウイルスを検査キットで検出するものですが、健康保険では3歳未満、65歳以上の方のみが対象になっており、その他の方には通常行われません。必要と認められた場合に行われ、診断の補助に用いられます。この検査は、結果が早く出るメリットがありますが、ノロウイルスに感染していても陽性とならない場合もあり、ノロウイルスに感染していないことを確かめることはできません。ノロウイルス感染症は、状況や症状から臨床診断することになります。
症状としては嘔吐、下痢といった消化器症状が中心で、その他に頭痛、発熱等がありますが、通常は軽度で、発熱は37〜38℃の場合が多いと言われています。
潜伏期間は24〜48時間で、発症後1〜2日で治癒すると言われています。
ノロウイルスには有効な抗ウイルス剤がなく、対症療法が行われます。食べたり飲んだりせずに胃腸を休ませ、脱水症状に気をつけて、症状が落ち着いてきたら少しずつ水分摂取を行います。脱水症状がひどい場合には、病院で補液を行うなどの治療が必要となります。下痢症状がひどいからと言って、強い下痢止めを服用すると、ウイルスが腸管内に溜まり、回復を遅らせることがありますので注意が必要です。
感染者の吐物や糞便の中にはウイルスがいますので、その処理には注意が必要です。使い捨てのエプロン、マスク、手袋をして乾燥する前に迅速にふきとり、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が必要です。ノロウイルスは通常のアルコール消毒では失活しないと言われています。ノロウイルスは乾燥するとウイルスが空気中に漂い、それが口にはいることで感染します。そのため乾燥前に迅速に処理することが重要です。消毒に用いる次亜塩素酸は、ご家庭では家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できますが使用上の注意をよく読んで使用するようにして下さい。トイレでは使用後に特に便座を消毒することが重要です。
予防としては手洗いが最も重要です。ノロウイルスに対しては通常使用する手指消毒剤は効果がなく、石鹸と流水で30秒以上の手洗いが必要と言われています。トイレ使用後、調理前など、しっかりとした手洗いをすることが最も効果的な予防法です。
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