海外渡航される方が多くなり、それに伴い、日本にはほとんどない感染症にかかる方が多くなっています。海外渡航の際の感染症予防のひとつがワクチンの予防接種です。いかれる地域によって違いますが、特に東南アジア、アフリカ、南米などに行かれる方は、感染症予防のため、ワクチンの接種をした方が良い場合があります。A型肝炎B型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病等のワクチンを必要に応じて接種する必要があります。
海外渡航者の予防接種には、主に二つの側面があり、一つは、入国時などに予防接種を要求する国や地域があり、これらに渡航するために必要なものです。行先の施設や学校に要求される場合があります。もう一つは、海外で感染症にかからないように自分を自分自身で守るためのものです。
予防接種証明書を要求される場合として、入国する時に、黄熱の予防接種証明書の提示が求められる国があります。主にアフリカの熱帯地域や南米の熱帯地域の国々です。また、黄熱の流行国から入国するときに予防接種証明書の提示が求められる国もありますので、乗り継ぎの時に証明書が必要になる場合もあります。また、学校に入学する時に予防接種証明書を要求される場合もあります。
外国では、日本にはない病気が発生しています。また、日本にいる時よりも感染する危険が大きい病気があります。予防接種を受けることで予防できる病気は限られていますが、予防接種を受けることで感染症にかかるリスクを下げることができます。必要な予防接種は、渡航先、渡航期間、渡航形態、ご自身の年齢、健康状態、予防接種歴などによって異なります。事前に渡航先の感染症情報を収集するとともに、それぞれの予防接種について理解した上で、渡航者お一人お一人が、どの予防接種を受けるかを決める必要があります。ワクチンにも一定の割合で副作用が現れる可能性があります。
また、ワクチンだけでなく、マラリアのように予防内服が可能なものもあります。蚊媒介やダニ媒介の感染症の流行地に行く場合には、蚊対策、ダニ対策も感染症予防になります。
ワクチンはほとんどの場合投与後免疫ができるまで約2-3週間かかること、多いものでは3-4回接種しなければならないことを考えれば、渡航予定の2-3か月前からワクチン接種を開始するのが望ましいと考えます。